2015年に制作に関わったインスタレーション作品「Expose」は、賃貸マンションの中に常設として稼働しているインスタレーションアート作品です。4階分の吹き抜けの作品専用のスペースというとても贅沢な環境で、LEDも相当な数、音響も6台のスピーカーとハイスペックです。

私が担当したのは、LEDの調光部のシステム構築とプログラムで制御される光の演出部のソフト開発です。

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部屋がめっちゃ暗い
今回の空間の特徴はなんといっても専用スペース。なので真っ暗なんです。作品に集中してもらえる最高のスペースで、暗闇を構築できるのもかなりのメリットです。でも制御するシステム側としては結構辛い状態なんです。実は。

なぜかと言うと、LEDはPWMという方法で明るさを制御するのですが、そのPWMって要は素早い点滅なんですね。制御するにはOn/Offの制御が一番簡単なんですが、その点滅の周期をうまくコントロールすることで明るさをコントロールすることができるんです。ただ特性としてLEDは反応が良すぎて点灯し始めが難しいんです。0から1がどうしても大きい段階として感じてしまうんです。人間の目が性能良すぎるってのもあるんですが。。。

いつもはこういうLEDの調光をする場合は、マイコンを使った基板を自作して256段階ぐらいの制御で調光するんですが、今回はその階調ではちょっと暗闇を生かしきれないんです。なので、LEDのPWMをマイコンから切り離し、専用のチップにまかせることで4096ステップの調光を実現することにしました。

12bitPWM調光モジュール
そこで探した結果入手のしやすさ、コスト、扱いやすさでPCA9685というチップをみつました。
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DINパッケージはないので、表面実装ですが、なんとかハンダづけもできるサイズ。今回はいろいろな都合があり、基板も自宅のCNCで自作することに。

切削した基板はこちら。

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そしてパーツをハンダ付け。

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こんな基板を24枚ぐらい使いました。。。たしか。

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マニアな人のために解説すると、以下のパーツを使ってます。
Arduino DaVinci32U
MAX485互換IC
2SK4017
あとは端子台とか、レギュレータとかですね。

MAX485使ってるので想像つくかもしれませんが、DMX512で通信する仕様にしました。せっかく作るので汎用規格に合わせておこうということで。

送出側は、Macを使いましたが、DMXの送出は、ENTTEC DMX USB PRO DMXを使ってみました。今は2系統だせるmk2も出てるみたいですね。FTDIのUSB-Serial経由でDMXが出せるようになってる(それって自作できそうだけど)ようです。

完成
さぁ、4096段階の調光の精度はどうか、ということで実験です。

いい感じでした。周期も早いので、チラツキもきにならずとてもいい仕上がりになりました。完全な暗闇からの1stepはそれでも目立つという人間の目の性能の高さには驚かせられましたが、その辺のカメラでは撮影できないぐらい暗い段階から制御できるようになりました。また、LEDのPWM調光はガンマが上がり気味になるので、ソフトウェア側では、0.0~1.0の実数値でプログラムし、それをガンマ補正かけてから0~4095の整数化して調光しました。なので、DMX512の2ch分をLEDの1系統に使っています。(8bit+8bitで16bitなので、4bit無駄にしてますが、chたりたので今回はそういう実装)

最後に
LEDの調光基板って、業務用だといろいろあるんですが、灯具とセットだったりして、特殊な環境のLEDには使いにくかったりします。
今回みたいにch数をやたらと使う場合は、案外いい調光器が見つかりません。
ただ、最近はこういうのもあって、もっと細かい制御をするにはいいかもしれません。(今回はch数が多くなりすぎることと、256step制御ということで使いませんでした)

今回作った基板は便利なので、今後も必要な場合は自作することになりそうな予感します。もし今度があればPCBで中国とかに発注して量産してみます。