今年の春頃にリニューアルしたAWAMOJIのことを書こうと思います。

もともと「泡で文字を表示する機械」はBubblyVision(バブリー・ビジョン)という名前の作品でした。2000年に大学の卒業研究で作ったのが最初です。展示の機会があり、富山のワンダーラボで企画展に参加したところ、好評だったことや富山出身ということもあり、納品バージョンを制作してほしいとの発注をいただきました。

で作ったのが、2002年だと思います。以下の動画がその初期のバージョンです。

さすがに10年以上たつと古いです。。パーツも劣化してますが、トラックボールで操作とか今ではあり得ませんね。。納品時はMacOS9.2とかで動作するアプリでしたが、2年ぐらいたってMacが壊れた時にOSXに移植する等の更新は地味にやってます。とはいえ、なかなか基本設計を更新するようなことは出来ず、ほぼ納品時のまま12年ほどたったことになります。大きな故障無く来たことなど誇らしい部分もありますが、なんと言っても古いですね。。筐体で使われてるボンドが劣化して筐体の側板がはがれてきたりしてました。10年というのが一つの区切りですね。

メンテナンスの時期が来たときに、ワンダーラボの方から駆動部分などの古いパーツを一新したいという要望がきました。どうせならMacをやめてiPadにしたいとか、いろいろな提案をしました。結果、電磁弁やコンプレッサーとった駆動パーツから、制御の基板などシステムのほとんどを一気に更新することになりました。

後日外装の劣化もひどいと言うことで、外装の更新もかけたいとの話がもちあがり、急遽デザインをして地元の木工制作の業者さんに外装を作ってもらうことにしました。

cg01以前のデザインは内部の機構を隠すような考え方でした。しかし、今になって考えると科学館という場所を考えると内部の構造が見える方が良いので、そこを軸にデザイン変更です。シンプルな構造にしてコストを節約するということ、見た目もシンプルでスマートにしたいということを考えました。デザインと言うほどデザインしてなくて、最小限にとどめただけですが。

cg06こんな感じで、アクリルのカバー越しに基板や機構が丸見えになるようにします。

設計も決まったので、材料を発注したり基板の設計をしたりと作業を進めます。

基板の設計ですが、僕はIllustratorで回路パターンを設計します。なぜかというと、パターンの線を細かくデザインできるから。ロゴなんかも入れやすいですし、見た目の調整がしやすいです。見えないところもこだわりたい派の自分としては、基板設計用のツールを使って半自動的に生成されるパターンはどうも見た目が悪く見えるので、自分の納得いく感じにしたいのです。時間はかかりますが。。。

AWAMOJI_Illustrator今回は基板はCNCで切削して自作しました。予算と時間に余裕があれば業者に発注して基板を作るのですが、今回はすべて自作です。しかも全部一人でやりました。。。

AWAMOJI_circuit1切削した基板にフラックスを塗り、パーツの半田付け。結構好きな作業ではありますが、一人でやると時間がかかりますね。。。

AWAMOJI_valve1空気の制御に使う電磁弁のパーツが届きました。今回はマニホールドといって連装のベースを使います。電磁弁は固定されていない状態で届きましたので、全部取り付けていきます。

AWAMOJI_valve2とりあえず8個のモジュールを一つ組んでみます。なかなか格好いい。全部で48本のコントロールをするので、これがあと5セットあります。

AWAMOJI_circuit2組み上がった電磁弁を半田付けが終わった基板につないでみます。なかなか良い感じにシンプルな構成です。基板一枚で8個の電磁弁のコントロールを行い、その基板6枚が連結され、頭脳を担当する基板とつながっていくという構成です。

AWAMOJI_Parts全部の基板の半田付けが終わり、テストプログラムでの動作確認も終わりました。iPad側のプログラムと基板側のWiFiモジュールのコントロールプログラムなどは現場でやることに。。。別件の仕事との時間の取り合いで、遅れ気味になってしまっていました。

現場が富山と遠いので、忘れ物はできません。すべてテーブルに並べて確認しました。パーツ多いですね。。

Bubbly_01現場についたら、まず古いBubblyVisionの解体です。運営の途中で筐体上部にカタカナで名前が入れられてしまっていました。作者としては結構残念な出来事でしたが、おそらく館の人はこちらに気を遣って入れてくれたんだと思うので複雑な気持ちになったものです。その思い出の筐体もこの日でさよならです。

Bubbly_02駆動パーツはすべて12年もの長い期間故障無く乗り越えてきました。すばらしい。コンプレッサーはまず最初に壊れてしまいそうな気がしますが、電源を制御して必要な時だけONにする設計にしていたのが良かったのか、12年たっても動いていました。

BubblyVision_Parts制御基板はなんとも古いです。この頃は基板もユニバーサル基板を使っていたんですね。自分の歴史も感じます。

BubblyVision_Parts2マイコンはPIC16F84Aです。16F88が出る前の設計なんですね。なんかすごい懐かしい設計。。

AWAMOJI_Making00新設計のAWAMOJIです。名称もBubblyVisionから変更でAWAMOJIにしました。名称の変更は実は現場に入ってから急に思いついて館の人に了承もらいました。BubblyVisionって名前は、意味的には楽しい表示装置みたいなニュアンスもあってつけたんですが、バブリーという響きがバブル世代などの意味をさしてしまい、どうも意図が伝わりにくい名前でした。シンプルに泡文字の意味のAWAMOJIに改名です。

あっという間に業者さんが組み立てを終えられていました。BubblyVisionのパイプと液体は流用するので、移動です。強度など心配しながらどきどきの作業です。

AWAMOJI_Makingなんとか組み立ては完了し、ソフトの開発に入りました。今回の設計では、電磁弁の制御は全部AVRマイコンでやりました。PIC派で今まで来たのですが、やはりグローバルはAVRだろうということで思い切って乗り換えました。AVRは世界でかなり使われてることもあり、Cのコンパイラもフリーで出回っています。gccのクロスコンパイラがOSXでも動作します。Xcodeで開発作業を行えるし、C++のコンパイルも出来ます。ということで、初環境で戸惑いつつもいろいろ恩恵もありそうということでがんばりました。

iPadのアプリでは、表示する文字を選びビットマップ画像にします。その画像をWiFiを通じてAVRに転送し、AVRのプログラムで泡の制御タイミング計算など行い制御します。今まではMacで処理していた内容をかなりAVR側に移行することになります。WiFiという不安要素もあります。WiFiのモジュールはこれまた初めて使うGainspanという会社のモジュールです。GS1011MICというもので、便利に使えそうですし、比較的安価だったので選びました。開発はちょっと面倒でしたが、動作は安定してます。

AWAMOJI_Making3通信のテストの意味もあり、ビットマップ画像を転送して制御基板につけたLCDの画面を切り替える機能を実装しました。うまく機能したようで結構感動です。

AWAMOJI_Making2iPad側のプログラムは手慣れたもので、デザインはある程度今までのものを踏襲しさくっと実装します。今回は手書き機能も実装しました。

AWAMOJI_Making4表示する画像が無事に転送された時の様子です。ここまで来たら後は電磁弁の制御です。パラメータを調整して決め込んでいくと完成です。

動作してる様子は、こちらを見てください。

AWAMOJI_Making5最後にさりげなく名前を入れました。大好きなダイモです。今回はこれ以上大きく名前が入れられることはなく、シンプルな状態でフィックスできました。

AWAMOJI00良い感じ。自分がデザインしただけあって、好みの雰囲気になりました。iPadのスタンドは海外から取り寄せたものです。なかなかいい。

途中トラブルもあり現場で非常に苦労しましたが、なんとか無事に完成できました。Mac等のコンピュータを使っていないことと、制御部分の工夫のおかげで突如電源が落ちても暴走しない設計になっています。こういう細かいところを更新したことで、空気が出続けて液体が上部から漏れるというトラブルもゼロに出来そうだと期待しています。(前の設計では10年の間に数回トラブルがあった)